人気ブログランキング | 話題のタグを見る

愛しのサラブレッド写真館 

prekrasnie.exblog.jp
ブログトップ
2019年 04月 18日

強い牝馬の先駆け、重賞9勝の女傑ヒシアマゾンが死亡

昨日は、種牡馬King's Bestキングスベスト(日本ダービー馬エイシンフラッシュの父)と現役の強豪馬シャケトラの急死という悲しいニュースが続きましたが、夜になって、またしても残念な知らせが届きました。

中舘英二騎手との名コンビで1994年エリザベス女王杯(GI)、1993年阪神3歳牝馬S(GI)の2つのGIを含む重賞9勝を挙げ、女傑と称えられた日本競馬史に残る名牝ヒシアマゾンが、繋養先のアメリカのポログリーンステーブルで現地時間15日の夜、老衰のため亡くなりました。

ヒシアマゾンは、アメリカ生まれの外国産馬。父がアメリカのブリーダーズカップ・ターフなどGI6勝を挙げたTheatricalシアトリカル、母がアイルランドの1000ギニー(GI)優勝馬Katiesケイティーズという世界的な良血馬の子として誕生。幼駒時代は、同世代の馬達を圧倒した動きを見せていたそうです。

デビュー戦は東京のダート1200m戦で1番人気に応えて優勝。2戦目のプラタナス賞(500万下、ダート1400m)は2着に敗れるも、初の芝のレースとなった3戦目の京成杯3歳S(GII)で2着に好走。すると、続く阪神3歳牝馬S(GI)は1'35'9のレコードタイムで2着に5馬身差をつけ圧勝し、1993年の最優秀3歳牝馬に輝きました。

4歳時は当時、外国産馬にクラシックへの出走が認められなかったため、残念ながら裏街道を歩むことになりました。その鬱憤を晴らすかのように、クイーンC(GIII)、クリスタルC(GIII)、ニュージーランドT4歳S(GII)、クイーンS(GIII)、ローズS(GII)、エリザベス女王杯(GI)と怒濤の重賞6連勝を飾りました。
特に後方から驚異的末脚で豪快な追い込みを決めたクリスタルCと、オークス馬チョウカイキャロルとの一騎打ちを制したエリザベス女王杯は共に歴史に残る名レースと言っても過言ではなく、一見の価値ありです。また、暮れの有馬記念(GI)で同年の三冠馬ナリタブライアンに次ぐ2着に好走したのも立派でした。当然のことながら1994年最優秀4歳牝馬に選出されました。

5歳となった1995年はアメリカに遠征するも、故障のため出走することなく帰国するアクシデント。しかし、秋には故障により精彩を欠いたナリタブライアンに代わって、古馬中長距離路線の主役として活躍。牡馬相手にオールカマー(GII)、京都大賞典(GII)を勝つと、ジャパンC(GI)ではドイツのLandoランドに次ぐ2着に好走、日本調教馬の牝馬として史上初めてジャパンC連対馬となりました。この活躍から、1995年最優秀5歳以上牝馬に選出され、3年連続でJRA賞の表彰馬となりました。

その後は蹄の不安もあって順調さを欠き、4戦して未勝利に終わり6歳時の有馬記念5着を最後に引退。アメリカで繁殖入りしましたが、産駒から重賞勝ち馬を輩出することができなかったのは残念でした。

それにしても、逃げが得意だった中館騎手とは真逆の追い込み脚質ながら、重賞を勝ちまくったのは本当に凄かったです。今の時代なら牝馬三冠馬になっていたんじゃないかなあ。
強い牝馬の先駆け、重賞9勝の女傑ヒシアマゾンが死亡_b0015386_00075873.jpg
懐かしのヒシアマゾンの的中馬券。追い込み馬だったから、直線は精一杯声援を贈ったのが良い思い出です。

現在は、大レースで牝馬が牡馬相手に勝つことは当たり前になっていますが、強い牝馬の時代の先駆けとして、彼女の活躍は永遠に色褪せることはないでしょう。
素晴らしい走りをありがとうヒシアマゾン!どうか安らかに眠ってください。

ヒシアマゾン(撮影日1995年11月26日・ジャパンC)
父Theatrical 母Katies(母の父Nonoalco)
1991年3月26日生 牝28 黒鹿毛 アメリカ・Masaichiro Abe生産 美浦・中野隆良厩舎
(通算成績)20戦10勝
(重賞勝利)1994年エリザベス女王杯(GI)、1993年阪神3歳牝馬S(GI)、1995年京都大賞典(GII)、オールカマー(GII)、1994年ニュージーランドT4歳S(GII)、ローズS(GII)、クイーンS(GIII)、クリスタルC(GIII)、クイーンC(GIII)
強い牝馬の先駆け、重賞9勝の女傑ヒシアマゾンが死亡_b0015386_00075264.jpg


by Yuuichiro_K | 2019-04-18 23:59 | 天国に旅立った名馬 | Trackback | Comments(0)


<< サクラアンプルール(18’有馬...      追悼、シャケトラ >>