2006年 10月 20日
衝撃のニュース「ディープインパクトから薬物が検出」から丸一日以上が過ぎました。昨日の時点ではわからなかった情報がだいぶ出てきたようなので、情報を整理するとともに、それを受けて、僕なりの感想を述べたいと思います。 ☆情報のまとめ 1 検査について (1) 凱旋門賞1~3着馬までが検体の対象で、尿検査を実施した。 (2) 採取した検体を2つに分け、馬名は隠して最初にフランスの試験機関でチェックした際、ディープインパクトから禁止薬物が出たことが判明した。次に別の香港の試験機関で再度検査したところ、やはり禁止薬物(イプラトロビウム)が検出された。 2 イプラトロビウムについて (1) 気管支を広げる薬で、器官が広がることにより呼吸を楽にする効果がある。ぜんそくや気管支炎、肺気腫、鼻炎などの治療に用いられる。 (2) 日本の競馬界で全く流通しておらず、ディープインパクトも国内で使用した経験は一度もない。 (3) フランスでは、禁止薬物であるが、レース出走時に薬の影響下になければ、治療薬としての投与自体問題はない。今回、ディープインパクトの治療の処方をしたパトリック・ラングロワ氏によれば、これまでのケースでは、レース5日前の摂取で陽性反応は表れなかったとのこと。 3 治療について (1) ディープインパクトは8月にフランス入りした後、呼吸器系の不調があり、滞在先のラフォン・パリアス厩舎担当の獣医師パトリック・ラングロワ氏からイプラトロビウム(気管支拡張剤)を処方された。 (2) 日本から獣医師は帯同していたが、フランスギャロの認可を受けていないことを理由に立ち会うことはできなかった。 (3) パトリック・ラングロワ獣医師は、禁止薬物使用(ドーピング)違反となることを避けるため、大事をとって1週間前までに投薬をやめるようにアドバイスしたという。しかし、その指示が正確に伝わっていなかったのか、守られなかったのかは分からないと発言。 (4) ギャロのルイ・ロマネ専務理事は、「投薬はフランス人獣医師によって行われたが、処方せんには明確に投薬停止期日が記載されていた。」と発言。 (5) 獣医師は投薬作業を逐一管理するわけではなく、厩舎の調教助手か、厩舎作業員に任される。彼らが投薬期日の指示を誤り、期日後も投薬が続けられた可能性が高い。 どうやら問題の薬物は、ディープインパクトの呼吸器の治療のためにフランスの獣医師パトリック・ラングロワ氏の指示によって、投与されることが決まったようです。そして、実際にディープ君に飲ませたのは、厩舎の調教助手か、厩舎作業員が行ったようです。 僕は、まず獣医師のパトリック・ワングロワ氏に怒りを覚えます。なんですか、「禁止薬物使用(ドーピング)違反となることを避けるため、大事をとって1週間前までに投薬をやめるようにアドバイスした・・・。しかし、その指示が正確に伝わっていなかったのか、守られなかったのかは分からない」とは! この発言が正しければ、このパトリック・ラングロワ氏の罪は重大です。彼が「ドーピングに当たる薬であることを知りながら処方した」ことは明白です。何だか意図的なものを感じます。しかも、フランスのルール上、仕方がないこととはいえ、現場に日本の医師を立ちあわせなかったわけで、現場でどのような治療行為をしたのかもわかりません。とにかく、一般的に動物には使用していない(つまり、影響がどう残るかなんてよくわかっちゃいない)薬を飲ませるよう指示したわけです。 しかも、投薬のタイミングについて、アドバイスしたと言っておきながら、正確に伝わったかわからないとは、あんたそれでも医師ですか!と言いたいです。彼は「説明責任」って言葉を知らないようです。これでは、「アドバイスをきちんとしていない」と言ってることと一緒でしょう。 しかし、ギャロのルイ・ロマネ専務理事の発言が正しいならば、最大の責任は、実際に薬を投与した調教助手か、厩舎作業員ということになりますね。実際に投薬したのは、日本人スタッフだったのでしょうか?だとしたら、処方箋にきちんと期日が書かれていたということが事実なら、本当に不注意としかいいようがありません。(フランス人スタッフだったら論外、昨日の記事に書いたとおり、即刻、賠償責任を問うべきです)。 今回のことで言えるのは、大変悲しいことですが、敵地の戦いでは、軽々しく他人に頼ってはいけない、信じてはいけない、ということなんでしょうね。まったくもって、残念無念です。。。
by Yuuichiro_K
| 2006-10-20 22:08
| 競馬雑談
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Comments(5)
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道
at 2006-10-20 23:58
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>アドバイスしたと言っておきながら、正確に伝わったかわからないとは
もうひとつ可能性が。 :処方箋がフランス語で書かれていて、かつ、処方箋の文字が汚くて読めなかった。 :通訳が日にちを逃して通訳した。 可能性もあります。いかがでしょう?どちらにしても残念ですが・・・
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Yuuichiro_K at 2006-10-21 08:45
☆道さん
はじめまして、コメントありがとうございます。 道さんのおっしゃる可能性は十分考えられますね。言葉が異なることによる意思の疎通の難しさはあったでしょうね。ましてや医療用語って専門的なことだし。また、医師の処方箋は、(僕が目にした日本のものですが)ミミズのような字で、何が書いてあるかたしかにわからないものがありますからね。
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タテガミ
at 2006-11-16 18:28
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初めまして、こんにちは。
ディープの問題が、解決したようですね。事実が知りたくて、「イプラトロピウム」で検索していて、こちらの記事がヒットして、管理人様の記事を読んで、少し、ほっとしました。 というのは、私が目にした報道には、今回の投薬が馬主の故意でず~っとやっていたことなのか、ディープは持病があったのか、全然判らなくて、 ディープに失望していたのです。 私は、競馬はやりませんが、サラブレットの美しい体と繊細な感情、そしてそれを調教しているスタッフに興味があり、ディープの特集番組を見て、更にディープのファンになっていたのです。 でも、管理人様が書かれている記事が事実であれば、ディープは、今までもイプラトロピウムは使用したこともなく、呼吸器の病気も持っていた訳ではないのですね?! フランスから帰国して急に引退を宣言していたのも、持病を隠す為なんじゃないか?とかも疑っていたんです。 ディープは体が小さくて、7千万で落札したというのも知っていたので、「持病」=やっぱりね~・・・とも。。。 でも、それらが違うようで、良かったです♪
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タテガミ
at 2006-11-16 18:29
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すみません、続きです・・・
種馬になってしまうのは本当に残念ですね。 走ることが本当に大好きな馬には、生涯走らせてあげたいですよね。 誰もが、あんな馬には会ったことがない、と口を揃えて言わせる馬ですから。 池江さんも、金子さんも、きちんとした説明をするべきだとも思います。 でないと、今後の試合がすっきりした気持ちで見ることができませんよね。
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Yuuichiro_K at 2006-11-17 01:43
☆タテガミさん
はじめまして、このたびはご訪問&コメントありがとうございました。今回の件は、治療中に思いもかけず散らばってしまった薬が馬房に残ってしまったために起きた本当に不運な事故でした。意図的なものではなかったということが明らかになったのは不幸中の幸いだったと思います。 ディープ君が、いつまでも走リ続けることができたら、本当に素敵なことです。けれども、あの細い脚で競走生活を続けるというのは、馬にとっては負担がかかるものです。いつまでも走らせることは、残念ながら決して馬のためにはならないでしょう。 また、引退して種牡馬になれるのは、ほんの一握りです。ディープ君のような優秀な馬が血を残すために繁殖生活に入るのはサラブレッドの使命ともいえます。 まあ僕も正直、せめてあと1年は走ってもらって、もう一度凱旋門賞に挑戦してもらいたい気持ちはあります。でも、こればかりはディープ君に関わる人達が決めたことだから仕方がないですね。 |
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