愛しのサラブレッド写真館 

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2005年 09月 09日

シンボリルドルフ(04’牧場写真最終回)

2004年牧場写真のラストを飾るのは、2005年9月現在、日本競馬唯一の無敗の三冠馬、GI7勝、史上最強馬の呼び声も高い、皇帝と呼ばれた名馬・シンボリルドルフです。

シンボリルドルフ
1981年生 16戦13勝 父パーソロン 母スイートルナ(母の父スピードシンボリ)
GI勝利 1984年皐月賞、日本ダービー、菊花賞、有馬記念 1985年天皇賞・春、ジャパンC、有馬記念
主な産駒 トウカイテイオー(皐月賞、日本ダービー、ジャパンC、有馬記念)

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どことなく漂う気品。引退から20年近くが過ぎているとはとても思えない、若々しい体つきに、感嘆しました。最強馬と呼ばれた皇帝の輝きは今もまだ健在です。(2004年8月22日(日)AM シンボリ牧場にて撮影) 

シンボリルドルフの皇帝伝説は、1983年7月の新潟1000Mのデビュー戦から、エピソードに事欠きません。調教師は名ジョッキーとしてミスター競馬と呼ばれた野平祐二。入厩当初、調教助手としてルドルフに乗っていたのは、現調教師の藤沢和雄氏でした。(後に、あまりの乗り心地の良さに野平師が主に乗ることになりますが^^)。ただならぬ素質を見抜いた野平師は、岡部騎手に「1000mのレースだが1600mのつもりで乗ってくれ」とレース前に注文をつけたそうです。そして、デビュー戦は、不良馬場の先行有利の状況にも関わらず、差す競馬をして注文どおり快勝しました。岡部騎手は、3歳(旧表記)時のルドルフについて、「古馬のように完成された風格を持っていた」と語っています。

3歳時を3戦3勝で終えたルドルフの4歳初戦は、クラシックの登竜門・弥生賞(GⅢ)でした。岡部騎手はここで選択に迫られます。ルドルフ同様、無敗(4戦4勝)でデビューから岡部騎手が手綱をとってきたビゼンニシキも弥生賞に出走してきたからです。しかし、岡部騎手は迷わずルドルフを選択、結果はルドルフがビゼンニシキを降し、岡部騎手の選択が正しかったことが証明されたのでした。
そして、クラシック第1弾・皐月賞(GI)も弥生賞同様、ビゼンニシキとの一騎打ちとなりましたが、ルドルフは2’01’1の皐月賞レコードで完勝。5戦5勝で無敗の皐月賞馬となりました。表彰式で岡部騎手は指を1本立てて1冠目奪取をアピール、早くも3冠へ向けて手ごたえを感じていたようでした。

続く、サラブレッドの頂点を決める日本ダービー(GI)は、当然のことながら圧倒的人気でレースに挑むことになりました。しかし、レースでは向う正面で岡部騎手が手綱を動かしているのにルドルフは反応せず、岡部騎手が慌てたそうです。しかし、ルドルフはレースを知っていたのです。「まだ動く所ではない」ということを。ルドルフは、3コーナー過ぎから加速を始めると4コーナーで逃げていたスズマッハから10馬身近くあった差をあっという間に縮め、直線坂上できっちりとらえ、終わってみればいつもどおりの快勝でした。岡部騎手に従わず、自分で競馬をして、勝つ。こんな賢いエピソードのある馬の名を未だに僕は知りません。

無敗の3冠へ向けて、夏をシンボリ牧場で放牧されながら鍛錬をつんだルドルフは休養初戦のセントライト記念(GⅢ)を追うことなくコースレコードの2’13’4で圧勝。菊花賞(GI)は、ゴールドウェイに3/4馬身差をつけて難なく完勝。8戦8勝で、日本競馬に燦然と輝く史上初の無敗のクラシック3冠馬となりました。

ルドルフは、休むことなく当時は菊花賞から2週間後に行われていたジャパンC(GI)に出走しました。ローテーションがきつかったせいか、体調不良(下痢をしていたそうです)と伝えられながら挑戦したレースは、宝塚記念馬カツラギエースの逃げ切りの前に初の敗北(3着)を喫しました。しかし目標を外国馬において、人気薄のカツラギエースの逃げを軽視したための敗戦、決して実力負けではないことを証明するため、ルドルフはグランプリ有馬記念(GI)に駒を進めます。
この年の有馬記念は前年の三冠馬ミスターシービーと宝塚記念、ジャパンCを制したカツラギエースが出走し、正に実力日本一を決めるにふさわしい対決となりました。ここでルドルフは、逃げるカツラギエースを早めにマーク、4コーナーで早々とこれを交わすと、追い込むミスターシービーには影も踏ませず、結局2着カツラギエースに2馬身差をつける横綱相撲というべき強い競馬で見事に優勝しました。しかも勝ちタイムはレコードタイムの2’32’8。これで文句なしの1984年度年度代表馬に選出されました。

5歳になってもルドルフは、皇帝の名にふさわしい強さを見せつけました。初戦の日経賞(GⅡ)は馬なりのまま逃げ切って4馬身差で圧勝。三冠馬ミスターシービーとの最後の対決となった天皇賞・春は、ミスターシービーが追い込みという自分のスタイルを捨て、早めにまくってルドルフの前にいったん出るという奇襲をかけましたが、直線すぐにミスターシービーを差し返し、そのまま他馬も寄せ付けず優勝しました。歴史に残る2頭の三冠馬の戦いは、シンボリルドルフの3戦3勝という形で決着しました。

宝塚記念を直前で脚部不安により回避したルドルフは、ぶっつけで天皇賞・秋(GI)に挑みましたが、大外17番枠で出遅れる苦しい競馬となりました。それでも直線早めにしかけ、ウインザーノット、ニホンピロウイナーを直線競り落としますが、最後の最後に後方一気に賭けたギャロップダイナの大外強襲にあい、まさかの2着に敗れました。タイムは1’58’7の日本レコード。岡部騎手は騎乗ミスを悔やみ、この日やけ酒を飲んだそうです。そして、プライドを傷つけられた皇帝もまた、レース後、涙を流して荒れ狂ったそうです。ルドルフは、やはり競馬を知っていたとしか思えない凄いエピソードだと思います。

敗戦に打ちひしがれることなく、ルドルフは続く海外の強豪を相手にしたジャパンCを快勝、これはレース史上初めての1番人気馬での優勝でした。昨年3着の雪辱を晴らすとともに、前走不覚をとったギャロップダイナにもきっちりと雪辱を果たしました。そして、海外遠征のため国内最後のレースとなった有馬記念ではこの年、圧倒的な強さでクラシック2冠に輝いたミホシンザンに4馬身差をつけて圧勝し、有馬記念連覇、史上最多のGI7勝目をあげ、2年連続の年度代表馬に輝いたのでした。有馬記念のフジテレビ盛山アナの名実況「世界のルドルフやはり強い、日本のミホシンザンを離す」は、今でも印象深いです。
そして、レース後、野平師は 「やっぱり、絶対はあったんですよね」と語り、「競馬に絶対はない、けれどもルドルフには絶対がある」という名言が生まれたのでした。


閑話休題
一般に「競馬には絶対がない」と言われています。しかし僕はそうは思いません。
強い馬がきっちりと力が出せる状態にあれば、これを負かすことは非常に困難です。それを教えてくれたのがルドルフでした。僕が現在、ある程度パドックで馬を見ることができるようになったのも、(モニターのテレビ画面からでしたが)ルドルフを見て「これが走る馬の身のこなしなんだ」ということが頭に刷り込まれたおかげだと思っています。「競馬には絶対がある」という言葉は決して間違いではないと信じ、今もパドックで馬を見つめています。


さて、世界制覇の夢を賭けて、アメリカ・サンルイレイS(GI)に挑戦したルドルフは、レース中の故障もあり6着に敗れ、このレースを最後に引退しました。種牡馬となったルドルフは、初年度産駒からGI4勝の「帝王」ことトウカイテイオーを出して、親子2代の深い感動を僕たちに残してくれました。


テレビやビデオでしか見たことがなかったルドルフを初めて牧場で見た感想は、冒頭に述べたとおり、若々しく、気高い雰囲気を感じました。最初は柵のそばにいて、僕たちの近くで草を食んでいたのですが、しばらくすると柵から離れ、遠くに行ってしまいました。「孤高」という言葉がぴったりの行動に思わず胸が熱くなりました。
ルドルフと会ってわずか3週間後の9月13日、ルドルフの種牡馬引退が発表されたわけですが、種牡馬引退直前に会うことができ、本当に行って良かったです。
最後に、「願わくば、皇帝の血、帝王の血が末広がらんことを!」心から祈っています。


さて、今日まで2004年の牧場写真をお届けしてきましたが、懐かしい馬たちにたくさん会えて、一生の思い出になりました。みんな本当に元気そうで見ていてとても幸せな気持ちになりました。貴重な名馬を見せていただいた牧場関係者の皆様、企画したツアーの関係者に深く深く感謝いたします。

来週からは、2005年牧場巡りで会った馬達を掲載する予定です。
引き続き楽しんでいただければと、思います。
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by Yuuichiro_K | 2005-09-09 00:00 | 04年牧場写真 | Trackback | Comments(2)
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Commented by urasimaru at 2005-09-09 22:52
皇帝、雰囲気変ってない。今にも野平さんが横から出てきそう。。そんな馬って、珍しくないですか?

「外からギャロップダイナ!!!」で、競馬に絶対はない、って思ったクチです(笑)。
海外遠征が残念な結果に終わったのはそれはそれはショックでした。
でも、長く子孫を残せて、活躍馬も出て、良かったです。
長生きしてください>ルドルフ
Commented by Yuuichiro_K at 2005-09-10 23:18
urasimaruさん、いつもありがとうございます。
馬って年を取ると背中の筋肉から落ちてボコンとへこんでしまうのが普通なのだそうですが、ルドルフは全然そんなことがなくて、本当に若々しかったです。おっしゃるとおり、種牡馬は引退しましたが、日本で最後に生き残っている三冠馬ですし、元気に長生きしてもらいたいです。


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